2016年1月3日日曜日

未成年へのパロキセチン投与

精神科医をしていますが、バイト先で困ったことです。

未成年にパロキセチンを投与すると自殺が増えるという報告が一時話題になった。それを受けて、パロキセチンの添付文書には「警告」という項目で以下の文面が記載されるようになった

海外で実施した7~18歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照試験において有効性が確認できなかったとの報告、また、自殺に関するリスクが増加するとの報告もあるので、本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179041F1025_2_32/

また、日本うつ病学会は 「パロキセチン」やSSRIというような特定できる名称を避けて「抗うつ薬」という一般的な名称に対して「SSRI/SNRI を中心とした抗うつ薬適正使用に関する提言 」を2009年に行っている。
現在、わが国で市販されている全ての抗うつ薬の添付文書には以下の記載がなされている。「効能又は効果に関連する使用上の注意」として、「抗うつ剤の投与により、24 歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮する」。また、「重要な基本的注意」として「うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期ならびに投与量を変更する際には患者の状態および病態の変化を注意深く観察する」。したがって、24 歳以下の若年患者に使用するに際しては、注意深い観察をしながら投与すべきである。http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/koutsu/pdf/antidepressant%20.pdf

ということでパキシルの若年者への投与は禁忌じゃないけど、慎重になるべきだと思う。最近はこれも話題になることがなくなったけど、常識の一つだと思う。もし、投与開始直後に自殺して訴えられたら、もしかすると処方した医者が責任を問われることもありうると思う。

で、バイト先の話なのだが、、、
バイト先では外来を担当するのだが、精神科にはめずらしく明確な主治医制をとっていないので、他の医師が初診を取った患者さんの再診をすることがある。割合若い患者さんが多い病院だが、結構な確率で院長は18歳以下の抑うつに対していきなり初診でパロキセチンを、それも30mgとかで出している。。。安易すぎるだろ、、、
そういう患者さんを次の再診でなんの予備知識もなく診察することになって、本当にドキドキする。たいてい患者さんは「良くなりました」みたいなことを言ってくれるのであるが、このパロキセチンをdo処方すべきか本当に困る。この後、自殺とかしたら俺が責任を問われるのだろうか、、、などと考えてしまう。いつもカルテに患者さんにはリスクを話して、「主治医とパキシル継続について相談するように伝えた」と記載してやむを得ず処方してしまっているのだが、本当は良くないよな、、、
そういう無駄な不安を感じさせるバイト先はやめるべきだと思うのだが、時給はすごくいいんだよな、、、うーむ

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